日高見工務店の家造り

床暖房と基礎断熱

【最近の基礎には換気口がない】

以前の基礎には、外から見ると15cm×30cmくらいの換気の穴がいくつも開いていました。最近の基礎を気をつけてみると、換気の穴がないのに気づくと思います。理由は2つあります。
ひとつが、基礎パッキン工法が従来の換気口方式に取って代わったことです。基礎パッキンという10cm×21cm×厚さ2cmぐらいの樹脂の板を、基礎の上に断続的に置いて、その上に土台を敷くと、基礎と土台の間に2cmの隙間ができます。基礎パッキンがないところは全部隙間だから、従来の換気口方式より通気が良くなるというものです。床下は寒くなるので、当然床には断熱材を入れる床断熱です。

もうひとつの理由は、基礎断熱の採用がふえてきたことです。基礎断熱とは、基礎の廻りで断熱気密を行うものです。床下は断熱気密ゾーンの中であり、室内の扱いになります。したがって基礎の換気口はないし、床の断熱材もありません。

基礎パッキン工法と基礎断熱は、家が完成すると、外見からは区別がつきにくくなりますが、まったく性格が異なるものです。

基礎パッキン工法 従来の換気口方式

 

 

【床下の夏型結露(床断熱の場合)】

 夏になると、急に高温多湿の空気が支配します。その空気は、基礎の換気口から床下に入ってきます。床下はコンクリートの塊ですから、恒温性があって、夏になってもすぐには温度が上がらず、冬の寒気の名残をまだ蓄えています。高温多湿の空気は、そこでで冷やされ結露します。
岩手ではないと思いますが、温暖地では床下がプールのようになることもあるそうです。岩手でも、夏に床下の湿度を測ると、常に90%を越える状態になっています。

 

 

【基礎断熱は安心】

基礎の換気口がないと、なんとなく心配になるようです。工事中に近所のお父さんから「なぜ換気口がないのか?湿気ないのか?」とよく質問されます。それはど床下はじめじめするもんだと思われているようです。

基礎断熱の場合、床下が室内だから、冬も温度が下がらないのです。家の性能が十分で、真冬どの部屋も20℃ぐらいという環境であれば、床下も20℃です。冬に温度が下がらない分、夏の床下温度が高くなっているので、床下の湿度が下がるのです。

実測調査の結果も、基礎断熱のほうが床断熱より乾燥しているという結果がでています。
ただし、建築初年度は、基礎コンクリートの水分の影響で湿度が高くなる傾向があるので、注意が必要です。これも一冬をこせば、水分が抜けて安定します。
 
  

 

【基礎断熱は水道が凍らない】

基礎断熱は床下が室内とほぼ同じ温度なので、屋内配管が凍りません。したがって、どんな寒波が来ても水道の水抜きが不要です。

 

 

【床断熱はユニットバスの断熱が面倒】

床断熱にすると、ユニットバスの断熱工事が結構面倒なのです。床下の土間に直接置くことになりますが、床下は外部です。ユニットバスの部屋が寒気で満たされます。ユニットバスの周りの壁で断熱すると、ユニットバスが外部になり、お風呂が寒くなります。ちょっと面倒ですが、ユニットバスの部屋だけ基礎断熱にすると、寒気が床下に入ってこないのでユニットバスが室内に取り込まれ、この問題は解決します。
基礎断熱の場合、床下ははじめから室内なので、ユニットバスの断熱は問題にしなくていいのです。


基礎断熱のユニットバス

床断熱のユニットバス
そのまま設置すればよい。 ユニットバスの断熱を考えなければいけない。
図は、ユニットバスの床下だけ基礎断熱とした例。

 

 

【これからは基礎断熱が主流】

これまで述べてきたように、基礎断熱はとても合理的な工法です。北海道ではすでに主流になり、岩手県でも採用する工務店が急激に増えてきたように感じます。

 

【基礎断熱は床下の環境に注意】

基礎断熱は、床下も室内と考えなくてはいけません。床下の環境には注意を払いたいものです。
通常の工事では、床下には多くの薬剤が使われます。住宅金融公庫の共通仕様書や、性能表示の「劣化の軽減」では、積極的に薬剤を使うことを推奨しているのです。特に性能表示「劣化の軽減」の最高等級を満たすには、薬剤の使用が必須です。私はこのことは非常に問題があると思います。大手ハウスメーカーやフランチャイズの多くは、最高等級を満たすために当たり前のように防腐防蟻薬剤を使っています。薬剤に頼るのは簡単なのです。多くの皆さんは、性能表示最高等級は安全で安心できるものと思っているはずです。ところが、防腐や防蟻の薬剤がたっぷりと使われているのです。性能表示が最高等級だからといっていいとは限りません。

土壌には防蟻薬剤の散布が行われます。土台には防腐防蟻薬剤処理された土台が使われます。柱にも防腐防蟻薬剤が塗られます。このように、知らないうちにたくさんの薬剤が使われて、居住空間の空気を汚染します。それがシックハウスやアレルギーの原因にならないとは限りません。

防腐防蟻薬剤の薬効は10年間とされています。誰もが健康で長持ちする家を望んでいると思います。しかし現実は、薬漬けの家でその薬は10年間の有効期限を持つにすぎません。
薬を使わないで、シロアリや木材が腐れるのを防ぐ方法がないのでしょうか。

日高見工務店は、薬剤を使わない自然の力を利用した防腐防蟻処理を実践しています。それには木材の性質を知らねばなりません。
「木材のはなし」と「不思議なフィトンチッド」の章を読んでください。

▲上に戻る

カテゴリー
エコハウスコンテストいわて エコハウスビルダーマップ エコハウスビルダーマップ