日高見工務店の家造り

気密はどこまで必要か

【次世代省エネ基準】

次世代省エネ基準では、寒冷地である?・?地域の気密は2.0cm2/m2以下と定められています。大手ハウスメーカーもその基準に従っています。それでは2.0cm2/m2以下であればいいのでしょうか?
世界一厳しいといわれるカナダのR-2000という基準では0.7cm2/m2以下です。
日本の断熱気密のトップランナーたちは0.5cm2/m2以下でやっています。
北海道の、国と道が関わった200年住宅「北方型住宅CEO」の住宅は、1.0cm2/m2以下と定められています。
これらは妥当な数字なのでしょうか。それとも過剰品質なのでしょうか。

 

 

【私の貴重な体験】

私が以前勤務していた工務店は、ポリシーがなかったうえ施工棟数を追求していたので、ローコストの家から高気密高断熱の家までいろんな家をつくっていました。高気密高断熱の家でも、現場監督の技量によってばらつきが大きく、さらに1人の現場監督が数多くの現場を管理しなければならなかったので、さまざまな品質の家ができてしまいました。いちおう気密測定することになっていて、2.0cm2/m2以下で管理することになっていましたが、ほとんどが2.0に近く1.0以下もあるというようにばらついていたのです。私はその会社でアフターも担当していたために、貴重な体験をさせていただきました。

体験上いえるのは、2.0cm2/m2にちかいとかなり隙間風および冷気を感じることになり、冬はあまり快適ではないということです。0.5cm2 /m2以下の家とは雲泥の差です。1.0cm2/m2以下だとだいぶ違ってきます。誰もが苦情を感じないレベルは0.5cm2/m2以下のようです。断熱気密のトップランナーたちが気密性能を0.5cm2/m2以下にしているのもうなずけます。

たとえば床面積が150?で気密が2.0cm2/m2の家には300cm2の隙間があり、これはB5用紙ぐらいの大きさです。気密が0.3cm2/m2では45cm2の隙間で、名詞ぐらいの大きさです。

壁にB5用紙大(15×20cm)の穴が開いている場面と、名刺大(5×9cm)の穴が開いている場面を想像してください。真冬の冷たい北風を受けたとき、どちらが寒いかあきらかだと思います。

 

 

【気密が悪いと換気がうまくできない】

現在は、法律で家に換気設備を設置することが義務付けられています。

換気とは、部屋の空気の入り口と出口を決め、新鮮な外気を導入し、汚れた空気を外に出して、部屋の空気を新鮮に保つというものです。

気密が悪い建物での換気は、ホースに穴が開いた掃除機で掃除するのに似ています。 吸う力が極端に小さくなっているでしょう。
気密がいいと、部屋の一端から空気を排気すると、ほかに隙間がないわけですから、もう一端の入り口から自然に空気が入ってくる理屈です。決められた入り口から新鮮空気が入って、決められた出口から汚れた空気が出て行くという計画換気がうまくいきます。

気密が悪いと、せっかく空気の入り口と出口を決めているのに、ほかに入り口(隙間)がたくさんあるのでそこから隙間風が入ってきて、計画された入り口から空気がさっぱり入ってきません。すなわち出口付近は空気が動くが、きめられた入り口からは新鮮空気がさっぱり入ってこないのです。すなわち空気がよどみます。計画通りの換気をするためには気密がよくなければいけないのです。

 

 

【気密が悪いと熱交換換気は意味がない】

気密測定もしないで熱交換換気を使ってますよ、というのは最悪です。

熱交換換気は部屋から排気する暖かい空気から、外から給気する冷たい新鮮な空気に、熱交換素子を通して熱を移動させ熱回収するものです。
ところが、気密が悪いと隙間から直接空気が出入りするので、この分は熱が回収できません。

ちなみに気密が2.0cm2/m2のとき、風速6mの風が吹いただけで隙間風によって家の空気が0.5回入れ替わるというデータがあります。これは熱交換換気で換気される換気量と同じくらいです。この隙間風からは熱がまったく回収されません。

すなわち、熱交換換気の熱交換率が70%でも、たった風速6mの風が吹いただけで、実質の熱交換率が半分の35%に落ちるということです。真冬の吹雪の日には目も当てられないではありませんか。せっかく熱交換換気扇を使ってもこれでは意味がないと思いませんか。

気密が1.0cm2/m2でも0.25回の隙間換気があります。0.5cm2/m2であれば0.1回以下なので、実質の熱交換率はほとんど落ちません。

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