冬の寒い日に、サッシが結露がびっしょりという経験は、皆さんお持ちだと思います。私もアパートに住んでいたときはひどかったです。朝起きてサッシの結露を雑巾でふくと、ぐしょぐしょになって、冷たいのに何度も絞らなければなりませんでした。いまは暖かい家に住んで、結露を拭くことはありません。
サッシに結露しやすいのは、家の中ではサッシが一番熱を伝えやすくて、外気温により近くなるからです。それはそうです。サッシの枠は、金属の中でも熱を伝えやすいアルミですし、ガラスはたった3ミリの厚みしかありません。窓は家の中で、もっとも断熱の弱点になるところです。
主な材料の熱伝導率と、サッシからどれだけ熱の出入りがあるかのデータを紹介します。
熱伝導率は、物質の熱の伝えやすさを表す数字です。数字が大きいほど熱を伝えやすいということです。アルミの236に対して樹脂は0.17なので、アルミは樹脂の1388倍も熱を伝えやすいということです。
材料 | 熱伝導率(W/m・K) |
鉄 | 83.5 |
アルミ | 236 |
ガラス | 0.55-0.75 |
樹脂(PVC) | 0.17 |
木 | 0.14-0.18 |
グラスウール10k | 0.050 |
ネオマフォーム | 0.020 |
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断熱の弱点である窓に対してさまざまな工夫が加えられました。
まずは二重サッシ。アルミサッシでも、二重に取り付けることによってサッシの間に空気層ができ、断熱性が高まります。
サッシ枠もアルミだけはどうしても冷えてしまうので、樹脂と組み合わせてアルミ?樹脂複合サッシとしたものがあります。しかしオール樹脂のサッシのほうが断熱性がよくなるのは当たり前のことです。なにしろアルミは樹脂の1388倍も熱を伝えます。
樹脂と木材の熱の伝えやすさはほぼ同等なので、樹脂サッシと木製サッシはサッシ枠だけを比較すると、ほぼ同等の性能です。木製サッシは、日本では高価ですが人気があります。
海外のサッシのマーケットをみると、欧米では木製サッシと樹脂サッシのシェアが高いことがわかります。日本ほどアルミサッシのシェアが高い国はありません。
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ペアガラスは、ガラスが2枚セットになって間に空気層が入っているものです。これも空気層により断熱性が高まります。ペアガラスだから安心と思っている方が多いかと思いますが、これではぜんぜん不十分です。
ガラスの表面に、輻射熱を反射する特殊なコーティングをしたのがLow-Eガラスです。熱の伝わり方は、伝導、対流、輻射の3通りと学校で習ったと思います。Low-Eガラスは、室内の輻射熱を反射して外に逃がさないようにしたガラスです。Low-Eのコーティングにより、1.5倍から2倍もガラスの性能が向上します。したがって、Low?Eガラスは高気密・高断熱住宅の必需品です。 コーティングの性能は、メーカーによってずいぶん性能に差があるようなので、要チェック項目です。
夏の暑さを防ぐために、日射熱を外に反射する遮熱ガラスというのもあります。紫外線のほとんどと日射熱の約6割をカットします。
ペアガラスの空気層にアルゴンガスを封入したアルゴンガス入りLow-Eペアガラスというのもあります。アルゴンガスは空気より熱を伝えにくいガスなので、断熱性が向上します。さらに上を行くのが、ガラスを3層にしたアルゴンガス入りLow-Eトリプルガラスです。
下記に性能を整理してみました。
サッシの熱貫流率(W/m・K)
木製 サッシ |
樹脂サッシ (シャノン) |
アルミ-樹脂 複合サッシ |
普通 アルミサッシ |
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単板ガラス 3mm |
- | - | - | 6.51 |
ペアガラス 3mm-A12-3mm |
- | 2.50 | 3.49 | 4.65 |
遮熱高断熱(Low-E) ペアガラス 3mm-A12-3mm |
- | 1.70 | 2.33 | - |
アルゴンガス入 遮熱高断熱(Low-E) ペアガラス 3mm-A12-3mm |
- | 1.50 | - | - |
アルゴンガス入 遮熱高断熱(Low-E) トリプルガラス 3-A6-3-A6-3 |
1.30 | - | - | - |
アルミ-樹脂複合サッシと普通のペアガラスの組み合わせは、岩手のローコスト住宅ではほとんどこれなのですが、熱貫流率が3.49W/m・kもあります。性能がよい樹脂サッシアルゴンガス入りLow-Eペアガラスの1.50W/m・kにくらべると、2.3倍も性能の差があります。この数字は、冬になるといやでもよくわかるでしょう。結露の量、触ったときのガラスの冷たさ、床をはう冷気の寒さがぜんぜんちがいます。
日高見工務店のサッシは、もちろん樹脂サッシアルゴンガス入りLow-Eペアガラスが標準仕様です。